校長通信

大東学園高等学校 > 校長通信 > 東和会デー 2017.5.13

東和会デー 2017.5.13

大東学園の創立 ~守屋東の取り組み~

大東学園は今から85年前、守屋東(あずま)先生により創立されました。3年前のNHK連続テレビ小説『花子とアン』の主人公である村岡花子さん(『赤毛のアン』の翻訳者)と同時代、花子の良き先輩(9歳年上)として一緒に活躍していた人物です。原作(『アンのゆりかご』村岡恵)の中には守屋東の実名で多くの場面に登場しています。

東は1883年(明治17年)東京都麹町生まれ。当時の女性としては異例で高等女学校を卒業後、仏英和女学院(白百合学園の前身)でフランス語を学び、東京音楽学校別科(東京芸術大学の前身)でバイオリンを習っていました。若くして亡くした妹の影響で熱心なクリスチャンでもありました。

東の豊かな生活が一変したのは19歳の時、実は家計が困窮していることを知った東は下谷(したや)万年尋常小学校で代用教員として働くようになります。極度な貧困や恵まれない家庭事情など「この学校で、今まで自分の想像もしなかった人間の生活がある事を知った。ここに自分が学ぶ多くのことがある。」ここでの経験がその後の東の社会活動の基礎となっていきました。

1908年、24歳になった東は日本キリスト教婦人矯風会の本部専従職員となり、貧困のために売春をせざるを得ない女性たちを保護、救済する活動に取り組みました。彼女たちを保護し、手に職をつけるための拠点として「慈愛館」の経営を担当しました。(現在も新宿に慈愛寮として生活困難や暴力から保護の必要な妊産婦と乳幼児が利用する施設として継続しています)

また、約900万人の戦死者と約2100万人の戦傷者を出した第1次世界大戦の反省から開かれたワシントン軍縮会議の際には、37歳になった東は日本キリスト教矯風会の仲間と渡米し、世界平和と軍備縮小を求める日本婦人1万名の署名をアメリカのハーディング大統領に手渡しました。

後に東は「万年町の4年間は、私の一生の土台を築いた人生の教室であり、私の小さな社会改良の夢の実験台であった。」と述べています。

満州事変の翌年、1932年(昭和17年)、48歳になった東は田園調布に桜幼稚園を開園します。(1943年に閉園となるが戦争中は保育所と形を変え、のちに財団法人なかよし幼児園となり1975年に公立保育園に吸収されるまで幼児教育を行った)

また同年、ドイツで始まっていたクリュッペルハイム(肢体不自由児のための学校)の経験に学び「クリュッペルハイム東星学園」設立準備に取り掛かり、同時に学校看護師や養護教員の養成所も創設しました。こうして肢体不自由児の教育と訓練を開始しました。この取り組みが戦後1949年に制定される身体障害者福祉法の基礎となりました。

そして1942年には大東高等女学校を創立しました。太平洋戦争の開戦直後でもあり、英語は敵性語としてほとんどの学校教育の中から排除されている時代でしたが、大東高女では「遠からず英語が必要な世の中がくる」との考えから英語教育が行われていました。

「禁断の聖書と英語の本持ちて壕に入れば爆音迫る」

「警報下にロウソクともし書き綴る英単語ゆれるPEACE」…当時の生徒作の短歌です。

空襲の激化に伴い1944年にクリュッペルハイム東星学園の事業を停止せざるを得なくなりましたが、この大東高等女学校が戦後の学制改革により大東学園高等学校となりました。

守屋東は教育者として、またキリスト教矯風会会員として当時としては非常に先進的な人権意識をもって教育と社会活動に取り組み現在の大東学園の礎を築きました。

大東学園の教育 ~人間の尊厳を大切にする~

それでは「人間の尊厳を大切にする」とはどういうことでしょうか。一言で説明することは難しいことですが、実際の大東の授業や取り組みから考えてみましょう。

たとえば「総合」の授業、大東学園では各学年でテーマを設け、大切な学びの中心となっています。テストはせず、成績もありません。一つの決まった正解のない大きなテーマをあつかい、それぞれが考えを深めていくことを大切にしています。

1年生では「性と生」…1学期のはじめ、性別について考えます。辞書では「男性と女性の区別。また、雌と雄の区別」とありますが、「性と生」の授業では「体の性」と「心の性」の様々なあり方について考えます。「え~っ!」と思う人、知識として「知ってる」と思う人、「わかる」と思う人…

いろいろなクラスの仲間の意見を知り、自分の考えが変わる、自分の考えが強くなる、あるいは中間に調整する、悩む…正解を求めるのではなく、いろいろな意見・考え・立場の中で自分で考えることが大切です。自分以外の人の考えや立場も理解して尊重する、自分も他者も大切にする中で学んでいくこと、「人間の尊厳を大切にする」ことの一部です。

次に「三者協議会」の取り組みです。昨年のテーマは身だしなみのルールではパーカー着用やワックスの問題、授業づくりでは「なぜ学ぶのか」、数学や古文、英語…実用性なのか、おもしろさなのか。生徒・保護者・教職員、それぞれの立場で様々な違う意見がでます。そこに地域の方、その他、みんなが違う意見を言い合います。

話し合いの中で「お互い」の理解を深める、知り合って尊重する関係ができます。自分の考えを深める、変わったり、ゆずったり、調整したり。自分も他者も大切にする関係、自分も他者も大切にする社会をつくる…これも「人間の尊厳を大切にする」ことでしょう。人とのかかわり、つながりの中での「人間の尊厳を大切にする」こと。教育づくり、学校づくりの一部ではありますが象徴的な部分を紹介しました。

私立学校にとって建学の精神は教育の核心であり、創設者守屋東氏の遺志は現在の大東学園にも連綿と引き継がれているものです。大東学園の教育目標「人間の尊厳を大切にする」は、私たち教職員が「人間の尊厳を大切にする」教育活動をすすめていくのと同時に、生徒たちも「人間の尊厳を大切にする」存在として成長・発達していくことが目標です。

2017.5.13 校長 原  健

2017.5.13 14:01 on 校長通信

MENU

MENU

  • サイトポリシー
  • 個人情報保護
  • サイトマップ
  • お知らせ
  • アクセスマップ
  • お問い合せ
  • 資料請求
  • 校内連絡
  • 緊急連絡